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犯罪から子どもを守る

あなたは子どもを守れる大人ですか?
子どもを犯罪から守る「大人」の役割とは

子どもに自分の身を守れといっても、子どもの力ではどうしようもできないことがあります。子どもが安心して暮らせる環境をつくること、社会で大きなストレスを抱えていたり、からだは大人でありながら成熟できていない、などの社会に適応できない大人を作らないことなどです。私達一人一人が日本の未来を担う子どもを守るために、すぐに効果の出ることを実践しながらも、時間はかかるけれども取り組まなければならない社会問題に向き合うことが必要だと感じています。

子どもが生きている社会を知る

子どもが安心して外で遊べない社会とは、一体どんな社会なのか、その深刻な状況を認識する必要があります。そしてその社会を作ったのは、紛れも無く私たち大人です。『昔は良かった』説を唱える前に、この現社会に生きている子ども達をどう守るのか、現実を見据えた取り組みが求められています。そのためにも、まずは今の社会がどのような社会であるのか、その社会で子どもが何を感じどのように生きているのか、子どもの目線に立った視点で子どもの安全について考えていくべきだと思います。

子どもに伝わる言い方

子どもが危険な目に遭わないように善意で注意しても、言葉が足りず「はやく帰りなさい」「そこから 降りろ」だけでは、子どもは怒られているように感じます。しかも、なぜ見ず知らずの人にとつぜん命令に近い言葉を言われるのか子どもには理解できません。それこそ、知らない人に怒鳴られたと不審者扱いされかねません。子どもに伝わる言い方でないと、せっかくの善意も役に立たないのです。

まずは、危険な状況にある(なると予測される)場合やその行為を続けたらどんな危険があるのかをしっかり伝えます。 私たち大人は、ことあるごとに子どもたちに繰り返し伝えていかなくてはならない言葉があります。それは、『もし、あなたが体を傷つけられたり、いのちを亡くしてしまうようなことが起きたら、どれほど親や周りの人たちが悲しい思いをするか』という内容です。自分のいのちは多くの人に影響を与えるものであり、傷つけば多くの人が悲しむ、ということを知れば自分のいのちの価値を知り、いのちを大切にしながら生きていく意識と行動につながっていきます。家庭で、学校で、地域で、それぞれの機会において『いのちを大切にする心』を育んでこそ防犯指導、防犯教育が意味をなすのです。

そして、不幸にも事故や犯罪に遭ってしまったときも、守りきれなかった悔しい気持ちを「だから言ったじゃない」と責める言葉で表現するのではなく、まずは「怖かったね、悲しい思いをしたね」「そばにいてあげられなくてごめんね」と子どもの気持ちに寄り添う言葉をかけましょう。「こどもに伝わる言い方」は防犯だけのことでなく、子どもだけのことでなく、「相手」がいる会話すべてに言えることです。相手を想う気持ちにプラスして相手の立場に立った言葉が伝わって(相手の心に沁みて)いくのです。

あなたは子どもを守れる大人ですか?
【ポイント1】子どもが近くを歩いていたら、周りをみていますか?

通勤や買い物途中などで、子どもを見かけたら、その子どもを見ている不 審な人物や車がいないか周りを見てください。地域住民のその目が犯罪抑 止の力になります。

【ポイント2】一人でいる子どもを見かけたら、声をかけていますか?

一人で遊んでいる子、はぐれている子がいたら、近くに親らしき人がいる かどうか確認してください。いないようなら、声をかけて、注意喚起しまし ょう。このとき、不審者に間違えられないようある程度の距離をもって声かけ をするといいでしょう。

迷子やはぐれなど子どもに助けが必要なときは、でき るだけ一人で対応せず、連れ去りに間違えられないように第三者に応援をもと めましょう。親が見つかったら、一人でいたときの子どもの状況を説明しどれ ほど不安になっていたか伝えましょう。保護者に「子どもから目を離すな」と いう言葉は逆効果です。迷子にして自分を責めている保護者もいます。見守る 気持ちを「子育て大変だけど、頑張ってね」という言葉で伝えていただきたい と思います。

【ポイント3】子どもの危険を察知できますか?

子どもが怖い思いや、危険な目にあっていることを近くにいる大人が察知し、行動することで犯罪被害軽減につながります。子どもが危険な状況に陥ったときの精一杯のSOSをしっかりと受け止めてあげられるよう、日頃から防犯のアンテナの感度をよくしておきましょう。

一例ですが、子どもが不審者に襲われて大声を出すタイミングを失ってしまっ たときは、笛や防犯ブザーを鳴らすこともあります。こういった道具も周りの 大人が「子どもが助けを求めている」音と認識できなくては効果がありません。 子どもが成長しているなどの理由で防犯ブザーの音を知らない大人もいます。 学校では努めて地域の人に音を聞いてもらう機会を作ることが大切です。私た ち大人もホームセンターなどで販売されている防犯ブザーを一度でも触ってみ ましょう。

    大人にありがとう!!

子どもが安心して過ごせる地域は、私たち大人にとっても安心して過ごせることを意味します。子どもは日本の未来を担う社会の宝です。私たちがこうして大人になれたのも、これまでの成長過程においていつもどこかで誰かに守られていたからなのです。そのときの大人に感謝です。そして私たちが大人になった今、ひとり一人がそれぞれの立場から子どもに何ができるかを考えましょう。子どもの安全に関心をもつことで救われる尊い命があることを知っていただきたいと思います。いまの子どもたちが大人に守られていることに感謝することができたら(してくれたら)嬉しくなって、大人(私)はもっと張り切ってしまうことでしょう。