ホーム > 防犯対策 > 防犯教育

防犯教育

子どもを守る視点と知識
悪い人ってどんなひと?

かつては、子どもに「知らない人についていってはいけない」と注意していれば済んだものですが、近年は顔見知りの人でも安心とは言えない事件が起きています。その影響からか地域の人たちが子どもに声をかけても、最近の子どもはすぐに逃げてしまうといいます。先生や保護者の立場からすれば、いろいろな事件が起きているので「近所の人なら安心していいよ」とも言えませんし、「声をかけられたら返事をしようね」とも言いにくいというのが実情です。

一方で誰も彼も疑えということになると「この世の中誰も信じられない」と大人を信用できなくなります。子どもの心の成長を考えると決してよいことではありません。 それではどうしたらいいのでしょうか。まず子どもに身を守る方法を教える上での注意点をお伝えします。基本的に「この場合にはこうして、でもこういう場合はこうだよ」というような状況によって対処が異なるような複雑な教え方はいけません。とっさの判断を迷わす教えは、行動を制止しその後の事態悪化につながりかねないからです。理想はひとつの教え方でどのようなケースにでも対応できる、覚えやすくて忘れにくいシンプルな教え方です。

いつでも安全な距離を忘れずに

見た目だけでいい人か悪い人かを判断するのは大人でも難しいものです。そもそも子どもを騙そうとする人ほど優しい人を装いますから、子どもが判断に迷わないよう「相手が誰であっても」一定の距離まで離れることを指導しましょう。 変な感じがしたとき、今いる場所からどこか別の場所へ行こうと誘われたとき、すぐに捕まえられない距離まで離れていれば逃げるチャンスがあります。人だけでなく、車から声をかけられたときも同じように自分から近づかないことを教えましょう。一定の距離とは、二人が向かい合って両腕を伸ばし、指先が触れない程度の距離を言います。子どもに教えるときには、言葉で言ってもわかり辛いので、実際に子どもと向かい合って、手を伸ばして「このくらいは離れていれば、何かあっても逃げられるね」と確認しあいます。この距離を覚えて自信がついたら、地域の人と積極的に交流してほしいと思います。

不審者に狙われたときの身の守り方

不審者が手を伸ばしてきたら、一瞬地面にしゃがみ、同時にすぐさま逆方向に向きを変えて走って逃げます。子どもと大人の身長差を利用したもので、相手の視界から消えることで不意をつき、逃げる隙をつくります。その後すぐに走り出す動作から「タッチ・アンド・ゴー」と呼んでいます。実際に体験するとわかることですが、早く逃げたくて中途半端にしゃがむとかえって捕まってしまいます。何度か練習すればすぐに習得できます。たとえ相手にしゃがむことを気づかれても子どもの「すばしっこさ」が優位になり逃げることができます。

次に、腕を捕まれたときの対処法です。突然腕を捕まれたときに、腕を力任せに引っ張ろうとしても抜けません。捕まれている腕より手のひらのほうが広いので抜けないのです。無理に外そうとすると相手が強く握るので痛いだけです。このとき捕まれている腕を相手の体に向かって押します。押したと同時に肘をしっかり曲げて腕を上にあげます。相手の体が大きい場合には素早く両手を組み、腰を下げて肘を曲げて腕を上にあげます。力は必要としません。大切なのは肘をしっかり曲げて腕を上げるだけです。コツとしては相手が腕を握ってきたら間髪おかずに実行することです。腕が自由になったら大きな声を出してすぐ逃げましょう。 逃げるときは直線に走らず、ジグザグに走ります。直線に走るふりをしてフェイントで違う方向に逃げます。これを繰り返すことで相手が面倒だと諦める確立が高くなります。

私が開発したこれらのプログラムは、子どもが必ず体験している「しゃがむ」「はしる」「腕をあげる」などの単純な動きを取り入れています。いざというとき頭で考えるより先に体が動くようにするためです。複雑なことや何度も練習しないと習得できないものはとっさのときに出てこないものです。日常自然に行なっていることが自分の体を守るために役立つのです。これまでに学んだこと、経験したことに無駄なものはなく、応用すれば自分の身を守ることができることに気づいてほしいと思います。