昨年よりコツコツ書き上げていた原稿が成長して一冊の本としてデビューします。
書籍を一冊出すときにはそれなりのエネルギーが必要ですが、今回も時間と体力との戦いでかなり厳しい中での作業でした。
いったい何回校正してどれだけの文章を書き直したのかもう思い出せないほどの難産でした。生みの苦しみが強いぶん、この本への愛着も深く、誕生を待つこの至福のひととき。
「マンションみんなの地震防災BOOK」はマンション向けのインターネットサービスをしている「つなぐネットコミュニケーションズ」さんからのご提案から始まりました。
以前からつなぐネットコミュニケーションズさんとは防災関係でつながりが深く、マンションの居住者向けや管理組合向けの防災セミナーを実施してきました。
その中で、一般の情報は戸建向けの防災対策ばかりで、マンション向けの情報は少ないという意見を耳にしました。
たしかに、自治体から配布される防災冊子もたいていは戸建住宅を意識した内容が多いように思います。それを反映するかのように、マンション居住者自身が、マンション特有の防災について、あまり知識を持ち合わせていないようにも思いました。
マンションの防災セミナーに参加した居住者からは、室内対策の重要性や、避難路への不安、居住者全員が防災について知っておくべきだ、本当に参加してよかったという感想が寄せられ、書籍として多くのマンション居住者の方に知ってほしいという気持ちが強くなりました。
マンション居住者はもしかしたら「マンションは地震に強い」と思われて安心しているかもしれません。新耐震基準で適切に施工されているマンションなら、建物の崩壊はないでしょう。でも、建物が崩壊しないだけで被害がないということではありません。
非構造部材である玄関や窓ガラス、配管、設備などに被害が出ることはおそらく避けられないでしょう。そうなれば、自室で過ごすことも難しくなり、その後の改修工事に向けた話し合い、費用の工面など大きな問題がでてきます。
ひとつの建物の中に多くの人が生活していることが、災害時に吉と出るか災いとなるかは事前の対策にかかっています。
この本では、マンションで被災したらどのような問題が浮上するのか、組合としてどこからはじめたらいいのか、居住者の防災意識を上げるにはどうしたらいいのかといった、これまでのセミナーで受けた質問にしっかりと応えるべく、個人としての対応やマンションの管理組合としてすべきことが詳しく書かれています。
この書籍を完成するまでに多くの方にご協力をいただきました。
建築耐震工学、地震工学、地域防災の第一人者であられる名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学の福和伸夫教授、横浜市の危機管理のエキスパートであられる横浜市磯子消防署長 消防正監 荒卷照和氏、気象庁の期待の星であられる気象庁地震火山部管理課 相川達朗氏に監修していただきました。
甚だ私見ですが、ここまでバランスよくまとまっているマンション防災BOOKは他にはないのでは?と自負するほど自信をもってお勧めします。(それだけ愛着心があ り….)
生まれてくる子はどんな顔?とワクワクしながらわが子の誕生を待っています。
早く手にとって読んでみたい。(実際には文章全部記憶して、もうこれ以上見たくないというぐらい校正したんですが…)どんな出来上がりか楽しみです。(色校で確認しても実際の書籍を目にするのは、また格別なんですよね)
ソワソワ… どうか皆さんに愛される(役に立つ)本となりますように。
ドキドキ… どうか多くの皆さんの目に触れますように。